シノビガミ乱リプレイ「死恋海峡」<完全版>其ノ一

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絵:こうき くう


序、 大明皇帝之賢女、可備日本之后妃事。

朝鮮王宮の地下。湿った石壁の部屋を数本の蝋燭が明るく照らしている。
朝鮮朝廷の宰相、柳成龍(ユソンリヨン)とその他に朝廷要職の数人が台座を囲んで立っている。
「来ました……」
入口に一人の男が忽然と立っている。鶯茶の道服を着た老人だ。髪を総髪にしている。痩せた身体に、長い顔。その口の両端に、どっじょうみたいな髭が二本たらりと垂れている。
「……果心居士、参上仕りました」

パンチロー:いきなり凄い人が来た(笑)。
夜帰:凄いのでた!?
GM(niga):うふふ。

その声を聞いて、柳成龍は訝しげな顔をし、
「居士。そなたは明国の者か?」
果心居士の発音にどこか明の訛りを感じたのだ。果心居士はにんまりと笑みを浮かべる。代わりに要職の一人が答える。
「この者、倭国の者とも天竺の者とも言われております。あらゆる国の幻術を使うとも……」
「さて。さっそく……」
果心居士は台座を見る。それを合図に部屋にいる全員が一斉に台座を見る。そこには美しい少女が横になって眠っている。
「これはこれは見事な」
果心居士の纏う雰囲気を不安に感じ、柳成龍は声を発する。
「居士。これで本当に倭国は……」
「ご心配めさるな。では始めましょう。まずは、衣服をめくって両の脚を広げてくだされ。ふぉっ。ふぉっ。ふぉっ」

パンチロー:エローイ!
GM:序章はこんな感じです。
夜帰:あれ、ここで終わった。GMが紳士力を発揮したようだ。
賽:自重したといううことか……。
パンチロー:GMマジ紳士。


■導入フェイズ

一、 ぼくの読みたい時代伝奇小説を作ろう

GM:GMを務めさせていただく、nigaともうします。「シノビガミ乱」が大好きです。今回はいままでぼくがツイッターを通してご一緒したプレイヤーさんばかりです。とくに印象に残っていて、この面子で集まって遊んだら楽しいだろうな、と思える方々に声をかけてみました。よろしくお願いいたします。
一同:よろしくお願いしますー。
GM:まずは、今回のハンドアウトを紹介します。

【シナリオ名】
死恋海峡

【タイプ】
特殊型

【リミット】
3サイクル

【あらすじ】
1592年。豊臣秀吉は15万の軍勢を朝鮮に出兵させた。
開戦当初、日本軍は勝利を重ね、首都・漢城(ハンソン)を陥落させる。だが、朝鮮側の李舜臣(イスンシン)率いる水軍の猛反撃、明の援軍により戦局は膠着状態となる。
やがて両国は和平交渉に乗り出す。だが、日本も朝鮮と明の連合軍も一歩も引かず、ここでも膠着状態がつづくかに見えた……。

「倭国と和平すべし」

豊臣秀吉は無類の女好きと聞く。朝鮮朝廷の名宰相、柳成龍(ユソンリヨン)は一人の少女を日本に送ることにした。この少女を秀吉に与えれば、必ずや日本は停戦するはずという。

その少女の名は、春姫(チュンヒ)。

【ハンドアウト】
PC1:柳生久三郎純厳
流派:裏柳生
導入:柳生新陰流の開祖、柳生石舟斎の嫡孫。新陰流の正統を継承する立場であったが、石舟斎に引取られて殺人剣を教え込まれ、裏柳生となるべく育てられていた。
そのような境遇に嫌気がさし、柳生ノ庄を出奔。諸国を巡って武者修行の末に、加藤清正の兵となり朝鮮出兵。
加藤清正より、春姫を秀吉のもとへ送り届ける密命を受けた。
【使命】春姫を秀吉のもとへ送り届ける。

PC2:石川五右衛門
流派:伊賀者
導入:伊賀の抜け忍。いまだに伊賀者に追われている身でありながら、天下に名を知られた大盗賊。「天下を覆すようなものを盗みたい」という欲望が心を占めており、いつしか太閤秀吉の秘蔵物を盗み出すことが目標となった。そんな折、朝鮮より極秘裏に秀吉に献上される女性がいるという噂を耳にした。
【使命】春姫を奪う。

PC3:風魔小太郎
流派:乱波
導入:豊臣秀吉の小田原征伐により、かつての主である北条氏は滅んだ。その後、徳川家康子飼いの忍びとなっている豪忍。
家康より、服部半蔵と協力し朝鮮からの和平を阻止せよ、という命が下った。
【使命】春姫を殺す。

PC4:沙也可
流派:雑賀衆
導入:加藤清正の配下として朝鮮に渡ったが、雑賀衆を率いて降倭(投降した日本人)となった。日本軍を撃退するべく獅子奮迅の活躍をした。
柳成龍から春姫が無事に秀吉のもとに到着することを見届ける密命をうけた。
【使命】春姫を豊臣秀吉のもとへ送り届ける。

【その他】
・ルールは「シノビガミ怪」ルール準拠の「シノビガミ乱」。
・PCは中忍で作成。(功績点は0点、背景ルールあり、奥義改造ルールあり、妖魔化ルールなし)


GM:ハンドアウトを見ていただくと分かるように。今回は各PCに歴史上実在した人物が指定されています。
パンチロー:半分プレロールドキャラクターに近いんですね。なるほど。
Y君:こういうの初めてなので楽しみ。
賽:ふむふむ。
GM:名前が決まっているだけで、史実どおりでなくてもかまいません。性別逆も可能です(笑)。すでに、時代考証などは無茶苦茶なので。
パンチロー:逆性別は伝奇ものの浪漫ですねぃ。
GM:かねてから、これらの人物が絡むような時代伝奇小説が読みたい。ならば自分で作ればよい!いや、作ってもらおう!というのが本セッションのコンセプトです。ぼくって頭いい!
夜帰:なるほど!まかしとけー!
GM:まあ、いつも通り気楽に楽しみましょう。
一同:はーい。


二、 自己紹介

GM:はい。PC1の方から自己紹介をお願いします。まずはパンチローさん
久三郎(パンチロー):今回PC1を担当させていただくパンチローです。みなさん、よろしくお願いします!
一同:よろしくお願いします。

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PC1:柳生久三郎純厳(やぎゅう くさぶろうすみよし)
年齢:二十歳 性別:男 流派:裏柳生
表の顔:加藤清正配下 信念:我
特技:戦術/《手裏剣術》、《歩法》、《刀術》、《潜伏術》、《詐術》、《意気》
忍法:【接近戦攻撃《刀術》】、【撫斬】、【影法師】、【陽炎】、【達人《刀術》】
背景:剣豪/武人

六尺を優に越える身の丈の若武者。精悍な面構えながらも、その瞳には独特の翳りがあり静謐。口数も少なく、何を考えているか余人には測りがたいところがある。
裏柳生として育てられた境遇に嫌気がさして柳生の庄を出奔した若い武芸者。今は加藤清正の一雑兵として、武功を立てようと朝鮮で剣を振るっている。
絵:こうき くう

GM:パンチローさんは映画や時代伝奇小説に造詣が深く。シノビガミ乱と言えば、まずこの方が思いつきました。時代伝奇的なロールを魅せていただきたと思っています。
久三郎:ありがとうございまーす!
GM:久三郎さんは20歳ですね。
久三郎:実際に朝鮮に渡った歳に合わせました。
GM:おお。すごい。

GM:では。PC2の夜帰さん。
五右衛門(夜帰):げへなげへな(この人の挨拶らしい)。
賽:げへなー。
五右衛門:「シノビガミ」では主にダイス目芸と忍具消費をしています。誰か助けて。今回はPC2の石川五右衛門をやらして頂きます。

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PC2:石川五右衛門(いしかわ ごえもん)
年齢:二十代前半 性別:男 流派:伊賀者
表の顔:大盗賊 信念:我
特技:戦術/《身体操術》、《潜伏術》、《盗聴術》、《分身の術》、《鳥獣術》、《記憶術》
忍法:【接近戦攻撃《潜伏術》】、【彷徨】、【影分身】、【髪芝居】、【無拍子】
背景:渡り/抜け忍

その名も天下に轟く大盗賊。権力者やら金持ちからしか盗まない義賊。伊賀の里で忍術を学び、紆余曲折の上、今は伊賀を抜けて大盗賊をしている。



絵:こうき くう

五右衛門:宵越しの忍具……じゃなくて銭は持たない派。忍具は持ちたい。
GM:はい(笑)。小悪党じゃないのね。
五右衛門:小悪党やるとカロリー消費が大変なことになるでやんすからねぇ……。
Y君:語尾が(笑)。
久三郎:小悪党ロールが染みでてる?!
五右衛門:今回は小悪党になる予定ではないでやんす。本当でやんす。よろしくお願いするでやんす。
一同:よろしくお願いします。
五右衛門:よし、小悪党成分は出しつくしたでやんす。
GM:ぼくは、夜帰さんのセッションを楽しいものにしてくれる手腕を高く買っています。PLのボンクラ度が高いですが(笑)、オンラインセッションだとPCは非常にシリアス。その辺りのギャップも楽しめるかと。あとは、本人も言っていますがダイス目芸に定評ありです。
賽:たのしみ(笑)。
五右衛門:わたしだって好きでダイス目芸をしているんじゃない!!本当だ!!ダイスの神に誓って本当だ!
一同:(笑)。

GM:次はPC3の賽さん。
小太郎(賽):はい、賽です。「シノビガミ」は無印から怪までPLとGM、オンセとオフセあわせて数十回くらいですが、乱はまだ3回目です。時代物知識はあまりありません。
GM:数十回ってすげえ!

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PC3:風魔小太郎(ふうま こたろう)
年齢:十九歳 性別:男 流派:乱波
表の顔:武芸者 信念:忠
特技:戦術/《手裏剣術》、《骨法術》、《生存術》、《流言の術》、《用兵術》、《呪術》
忍法:【接近戦攻撃《呪術》】、【神槍】、【後の先】、【竜馬】、【頑健】
背景:剣豪/有名

風魔小太郎の名を襲名したばかりの若輩。周りに自分を認めさせるためには、何よりも力が必要だと思っている。




絵:こうき くう

小太郎:いろんなところに噛み付きます(笑)。
GM:なんか強そうだなー。
小太郎:どんなキャラかは導入でわかるかなーと思います。今のところはこんな感じです。よろしくお願いしますー。
一同:よろしくお願いします。
GM:賽さんは、この面子の中では個人的に一番絡みが少ないのですが。一度セッションをご一緒した時に、マンチな方なのかと思っていたら(笑)、非常に渋く無駄のないロールをされていたのが印象的でした。うまいプレイヤーさんです。
小太郎:でも敵対ハンドアウトっぽいPC1には目標値5でよけられますのぜ。
五右衛門:もうデータ見てる!?
小太郎:ハンドアウトにも「春姫を殺す」って書いてますし(笑)。
GM:怖い。

GM:最後はY君さんです。
沙也可(Y君):はーい。Y君です。「シノビガミ」は何度かプレイしていますが、乱は初めてです。
GM:そうなんですかー。

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PC4:沙也可(さやか)
年齢:十八歳 性別:女 流派:雑賀衆
表の顔:武官 信念:我
特技:戦術/《針術》、《砲術》、《分身の術》、《鳥獣術》、《用兵術》、《暗号術》
忍法:【接近戦攻撃《用兵術》】、【花炬】、【集団戦攻撃】、【影分身】、【死人鴉】
背景:渡り/諦観

長い黒髪は腰まで流れ、月光のように澄んだ神々しさを思わす。前髪は目より上で切られており、日本人形のよう。柳成龍のもと、朝鮮投降後も武官として働いている。

絵:こうき くう

沙也可:春姫と近しい年の娘さんをやろうと思っております。
GM:女性PCがいてよかった!
五右衛門:GMがPC名指定しておいて(笑)。
久三郎:よもや沙也可が美少女くノ一になろうとは……すごくイイ!
沙也可:あはは。よろしくお願いします。
一同:よろしくお願いします。
GM:Y君さんは、私の中ではかっこいいロールプレイをしてくれるプレイヤーさんナンバー1です。中年男性からゴスロリ少女まで、いつもかっこいいです。今回も期待しています。
沙也可:たは。ありがとうございます。

GM:ほいほい。では、各PCの導入に入りましょうか。


三、 風魔小太郎 -伊賀鬼道衆-

伊賀の国。服部半蔵屋敷。庭に面した縁に、鉄のように沈着剛毅な男が立っている。
二代目半蔵、服部半蔵正成である。
庭にも一人の男が立っている。その男が口を開く。
「服部正就はじめ伊賀鬼道衆、参上いたしました」
服部正就は半蔵の長男である。鬼道衆は半蔵配下の伊賀者の精鋭部隊であり、正就はその頭目だ。
やがて声だけが庭に響く。
「牙刀院(がとういん)。参りました」
「紅夜叉(べにやしゃ)。ここに」
「霧隠才蔵(きりがくれ さいぞう)。参上いたしました」
「呪解夢(じゅげむ)でちゅ」
「金剛鬼(こんごうき)」
男、女。中には子供のような声もあったようである。

小太郎:すげえー。
久三郎:わー。「伊賀鬼道衆」すごくそれっぽーい(笑)。
沙也可:なんか可愛いのいるぞ。
五右衛門:「でちゅ」!?これ敵だ!きっと敵だ!
久三郎:つーか、さらっと霧隠才蔵がいるんですが。
小太郎:いますな。

「極秘裏に朝鮮から秀吉公に献上される女人が来ている」
半蔵は腕を組んで静かに言い、
「……その者を殺せ」
姿を見せぬ者たちから、押し殺したような笑い声が漏れる。正就が気にせず言う。
「鬼道衆、承知いたしました。その女人が秀吉公に会う前に始末せよということですな」
「左様。朝鮮に放っている忍びからの報告によると、その女人は朝鮮妖術によって作られた大量呪殺兵器であるという」
その場が静まり返る。
「それとな。今回の件に関してお前たちとは別に動いてもらう忍びを雇った。名前くらいは知っていよう。風魔小太郎だ」
一瞬、場の空気が緊張する。

GM:というわけで。小太郎さん、ご登場ください。
小太郎:歩み出て「……風魔小太郎」鬼道衆をひとりひとり、服部正就を値踏みするように睨みつけたあとに。半蔵をじっと睨みつけましょう。
GM:泰然と小太郎の視線を受け止める半蔵。
小太郎:小声で「っち。今は無理か」
GM:なにが無理だ(笑)。
小太郎:正就の方に向き直って。「馴れ合う気はねえ。てめえらはてめえらで勝手にやれや。標的を殺んのは、俺だ。風魔小太郎だ」
GM(半蔵に扮して):「それでこそ、忍びの中の忍びと言われる風魔よ。貴様の自由に動けばよい。手柄を立てた暁には風魔組の取り立てを家康様に進言してやろうぞ」
小太郎:「ッハ。ありがたき幸せってか?知らねえよ。風魔は、実力で俺らの価値を認めさせてやる」
GM:「ふふふ。期待しているぞ。では行くがよい」
小太郎:「……」無言で姿を消します。

沙也可:小太郎くん才気溢れる若者や。
小太郎:ただの狂犬ですよ!半蔵に喧嘩売ろうと思ってたけど相手が多すぎるぜ……。
五右衛門(呪解夢に扮して):「半蔵様が出るまでもないでちゅ。忍者一人くらい僕ちんにかかればすぐでちゅ」
GM:早くもNPCを乗っ取りはじめやがった。
久三郎:いいですねぇ、若気が至りまくってて!凄くいいですよ!
小太郎:わーい。ほめられた(笑)。

GM:小太郎は好きなPCの【居所】を取っていいですよ。判定不要です。
小太郎:そこはやはり柳生さんでしょうなぁ。
久三郎:ですよねー。

久三郎の【居所】が、小太郎に渡る。

「よろしいのですか。あのようなハグレ忍びなど雇って」
「よい。主を失った狂犬を野に放つ……、我らの邪魔立てする野兎どもを排除してくれよう」

GM:服部父子が語り合っているところでシーンを閉じましょう。


四、 沙也可 -倭国へ-

沙也可:唐風の扉の前に一人の少女が立ち。「柳成龍さま、沙也可でございます」
GM(柳成龍に扮して):「ああ。来てくれたか」君を迎え入れよう。
沙也可:「失礼致します。急ぎのご用とのことですが、また戦場にまいりますか?」
GM(柳成龍に扮して):「いや。倭国に向かってもらいたい」
沙也可:日本人形のような顔立ちを曇らせ「……倭国ですか」
GM(柳成龍に扮して):「君に再び倭国の土を踏ませるのは忍びないが。倭国に詳しい者が必要なのだ。そして私が信頼できる者」
沙也可:「かしこまりました。この沙也可、御恩にむくいるに否はございません。して、詳しい内容を」

静かな部屋で二人の密談が交わされる。

GM(柳成龍に扮して):「……春姫様は加藤清正の手のものに預けている。すぐにも倭国にわたるであろう」
沙也可:「それでは、行ってまいります」日本式の礼をしてシュっと消えましょう。
GM(柳成龍に扮して):沙也可を見送りつつ「……それにしてもよく似ている……」

久三郎:わー。思わせぶりな(笑)。
五右衛門:気になるなー。
小太郎:なるほど。そういうことか……。
久三郎:知っているのか、小太郎!?
小太郎:今はまだ(以下略)。
沙也可:(笑)。
五右衛門:時を超えて冴え渡る幻蔵ロール!!
GM:すごい。このPC名でボケ&ツッコミされると迫力あるなー。
五右衛門:(笑)。

GM:沙也可も好きなPCの【居所】をどうぞ。
沙也可:じゃ、小太郎くんの【居所】ゲット。
小太郎:な、なんだってー。

小太郎の【居所】が、沙也可に渡る。


五、 柳生久三郎純厳 -伊賀忍法金剛拳-

安芸の国(現在の広島県)。柳生久三郎純厳と春姫は小道を歩いている。春姫は艶やかな長い黒髪が腰まで流れ、月光のように澄んだ神々しさを感じる女性である。

GM:今回のセッションの主な舞台は安芸の国(現在の広島県)になります。
久三郎:もう日本についたのですね。
五右衛門:ほうほう、朝鮮だったらどうしようかと思った(笑)。
GM:はい。どんな感じで旅してますかねー。
久三郎:口数も少なく、辺りにそれとなく気を巡らせています。ふと、春姫が息を切らせているのに気付き、「姫、少し休みましょう」と声をかけます。
五右衛門:イケメンだー!
小太郎:敵だー!
GM(春姫に扮して):「ありがとうございます。久三郎さま」少し汗ばんだ額を軽く拭う。
久三郎:春姫が木陰に腰をかけると無言で水筒を差し出すというおまけつき。
GM:では、水筒に口をつけて水を飲む。緩やかに動く喉の線が麗しい。
五右衛門:駄目だ、イケメンすぎる。これは生きて帰れない。
GM:よろしければ進めます(笑)。
久三郎:どうぞー。

前方から小作人のような身なりで小さな笠を頭にのせた、だが身の丈は2mはあろうかという大男。衣服からのぞく身体には岩のような筋肉の瘤が盛り上がっている。

五右衛門:敵襲ー!
久三郎:すい、とさりげなく春姫の前に立ち、刀の鯉口をきります。「何者だ」
GM:大男は二人の前で立ち止まる。笠をはずすと禿頭の岩から削りだしたような醜悪かつ凶暴な顔が現れる。

「伊賀鬼道衆が一人、金剛鬼。朝鮮からわたってきた女。こちらに渡してもらおう」

GM:襲い掛かってくるよ。演出戦闘で斬ってください(笑)。
小太郎:鬼道衆のかませ臭がやばいぜ……。
五右衛門:ふ、金剛鬼……。鬼道衆の中でも最弱の男よ……。
久三郎:金剛鬼は、何故かそのまま久三郎の前をすいっと通りすぎてしまいます。

次の瞬間。ギャリン!という金属同士がぶつかる音。

久三郎:「ほう、存外面の皮の厚い。その名、伊達ではないな」と涼しく笑います。
五右衛門:流石、金剛と言うだけはあるな。

GM:金剛鬼の全身が岩石の結晶体のように変化している。

「伊賀忍法金剛拳。俺の肉体は鋼より硬くなる」
金剛鬼が元の身体に戻ると、胸の辺りの衣服の裂け目から、しぱっと血が吹き出し、その場に膝をつく。
「うぬ。貴様……。鉄をも裂く剣。……柳生と見たが、何者だ?!」

久三郎:「柳生石舟斎が嫡孫、柳生久三郎純厳。だが今は一介の雑兵と心得よ」凄惨な笑みと共に刀身を己が身で隠す柳生新陰流「陰の太刀」に構えます。
GM:やべえ。かっこいい。
小太郎:すげええ。
沙也可:さすがはイケメン剣士や。
五右衛門:これは春姫も惚れるレベル。
GM(金剛鬼に扮して):「面白い。また会うぞ」と言って身軽に飛び去る。
久三郎:「伊賀者まで動くか。これは存外面白い」と昏い笑みを浮かべ、刀についた血脂を懐紙で拭って静かに収めます。

五右衛門:伊賀者が山のように出てきて怖い。
GM:(笑)。
五右衛門:今回は!フレーバー優先ロマン組みなんだよォ!「抜け忍」こわいマジこわい。
GM:だから許可したのだ!
五右衛門:くそ、GMめ!(八つ当たり)。

-裏コメント-
五右衛門は背景の弱点で「抜け忍」を取っている。GMの許可を得て、本来は指定できない自分の流派(伊賀者)を指定してるのだ。ちなみに「抜け忍」は指定した流派のキャラクターに【居所】を知られると射撃戦ダメージ1点を受ける背景である。

GM:はい。春姫のハンドアウトを提示します。

春姫:明国の王族の血を引く少女。
【使命】明に帰る。


久三郎:なんと、そんな過去が。
小太郎:ほほう……。
五右衛門:ほう。

GM:好きなPCの【居所】をどうぞ。
久三郎:んー、ではこちらもとりあえず小太郎で。ハンドアウト的に。

小太郎の【居所】が、久三郎に渡る。

GM:というところでシーンをとじましょうか。


六、 石川五右衛門 -絶景かな、絶景かな-

GM:ここは五右衛門らしく。裕福な悪徳商人から千両箱を盗んで、「絶景かな、絶景かな」と屋根の上から小判をばら撒いているとかどうでしょうか。
五右衛門:油で茹でられてるとか言われるかと思った。焦った。
GM:それはエンディングじゃ。
五右衛門:ヒィ!では小判をばら撒く方向でひとつ。宵越しの銭になるので全部撒く。巷でも有名な蝦蟇のような顔をした豪商から千両箱をまんまと盗みおおせてですね。
GM:蝦蟇(笑)。
五右衛門:貧しい者が多く暮らす長屋とかの屋根の上に登って「絶景かな、絶景かな。春の眺めは値千金とは。小せえ、小せえ」と、小判をばらーん!じゃらーん!と大量に撒く。
GM:これもかっこいい。町人が群がって小判の争奪をしている。

「五右衛門だ!いいぞ!いいぞ!」
「ありがてえ。悪い金持ちどもを懲らしめてくれ」
「きゃー!素敵ー!五右衛門様」

五右衛門:「この五右衛門の目から見るときは、一目万両万々両。はて、うららかな眺めじゃなァ」更に撒いて、空になった箱を壊す!
GM:おお!
五右衛門:「こんなチンケな箱に溜め込んだ財、こうして使わなければ腐るだけよ!」壊した破片は危ないので人が居ない側に捨てます(笑)。
GM:なんか律儀だな(笑)。
久三郎:アフターケアも万全だ!素晴らしい五右衛門ロールが炸裂している!
小太郎:完全に一致。完璧だなぁ。
沙也可:英霊五右衛門がここに現れた。
GM:小悪党じゃなかった!
久三郎:見事な義賊っぷりだ!

GM:忽然と背後に気配が……。「ずいぶん羽振りがよさそうですね。兄者」
五右衛門:「おゥ、なんだ見てたのかィ」腕を組んで、顔をちょっと上げて目線だけで振り返る感じ。
GM:知っているのか?!
五右衛門:誰だ!?
GM:(笑)。

高貴といってもいい秀麗な顔立ちの美丈夫が立っている。伊賀の霧隠才蔵。五右衛門の弟弟子である。若き天才と呼ばれ、半蔵配下の鬼道衆に名を連ねる。目下、伊賀者の中でも5本の指に数えられる達人だ。
ゆっくり忍刀を抜きつつ、
「伊賀は抜け忍を見逃すようなことはしませんよ」

久三郎:才蔵さん追い忍だったー(笑)!
五右衛門:「粋ってもんが分からんねェ。天下に轟く大盗賊、粋じゃアねェか。俺が抜け忍?それがどうした」才蔵に勝てると思っているのと、才蔵は町の人に危害を加える事もないだろうと思っているので、まだ屋根の上に登ったままでいるよ。
GM(才蔵に扮して):その姿を見てため息をひとつ。「興が冷めました。それに俺は今重要な忍務で少々忙しい。今日のところは見逃しましょう。これは貸しですよ」と言って霧のように消える。
五右衛門:「流石に往来で無茶ァやらかさねェか。あいつも大人になったもんだ……が、無茶を通すのが粋って事ァ理解しャねェか。しっかし、忙しくしてる忍務ってなァ、なんだろうなァ。阿呆ゥ共からかっぱらうより面白い事かねェ……」と、独り言をつぶやいてから、いつも小判をばら撒いた後にするようにシュバっと消えるよ!
GM:いいですね!
五右衛門:大盗賊は風のように来たりて風のように去るのです。
久三郎:おお。五右衛門と才蔵がなんかいい感じの関係っぽい。

GM:好きなPCの【居所】をどうぞ。
五右衛門:では、才蔵をちょっと調べていたら行き当たった、ということで風魔小太郎に目をつけた。よ!

小太郎の【居所】が、五右衛門に渡る。

小太郎:(各PCがとった【居所】が)俺以外みんな俺かよ!
五右衛門:俺以外みんな俺(笑)。
GM:すごい言霊だ。
五右衛門:これはひどい。が、味わい深いな(笑)。
沙也可:(笑)。
久三郎:いや、ホラやっぱ刺客だしぃー?

-其ノ二へつづく


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