シノビガミ幕末リプレイ「葉隠忍法帖」試し読み

運が良ければ冬コミC93で頒布するかもしれない。
シノビガミ幕末リプレイ「葉隠忍法帖」の初稿にもなっていない、下書きの試し読み版を公開いたします。

ご興味を持っていただければ嬉しいです。

●ハンドアウト
https://docs.google.com/document/d/17EKwXDN43WGJwUxiQJDr0-DGNB6jywFOJ-jzn_znYJE/edit


■導入フェイズ

一、鍋島詩織-忍法葉隠-

 詩織は夜半に寝所で目を覚ます。物音--、いや、人の声がかすかに聞こえる--。

詩織:「こんな夜更けに誰でしょう……」

「--忍法葉隠、ここに成る」
 風に乗って声はそう聞こえた。

詩織:「葉隠……」
楠次朗:忍法と申したか。
GM:はい、そうです。
詩織:……障子をそっと開けてみます。

 朧げに何人かの黒い影が見える。
「これよりそなたらを葉隠衆と呼ぶ。葉隠衆こそ最強の剣士団。そなたらに勝てる者などこの世にあろうはずがない」
 その声にいくつかの人影が頷いたようにも見える。

詩織:非日常の気配に恐ろしくなりますが、肥前藩の姫としての矜持が勝ちます。「せめて顔なり見ておかなければ--」
GM:影は最近肥前に来たという幕府の使者たちのようです。

「鍋島閑叟が欲する大量殺人兵器を手に入れるのだ。--行け!」

羆:とんでもないものを欲してる!?
楠次朗:アームストロング砲とかかな。

 その声を発した男は続けて恐ろしい言葉を口にした--それを詩織は確かに聞いた。

GM:何を聞いたかは、謎です。
詩織:「お父様……。詩織が必ずお救いいたします!」
楠次朗:健気だ!

 詩織は佐賀城を--肥前藩を飛び出して行った--。


ニ、魁の楠次朗-清水次郎長-

 清水次郎長一家。
 前年(一八六三)に有名な黒駒の勝蔵一家との天龍川での対峙があり、今にも黒駒の勝蔵との全面抗争が今にも始まろうという慌ただしい状況。
 楠次朗は伊勢湾付近で情報収集や抗争準備に忙しかった--。

楠次朗:あー、そがん大切なときに、おいは暇もらうんかぁ……。
詩織:きな臭いどころじゃないですね(笑)。
羆:まさかの真っただ中(笑)。
GM:楠次朗は次郎長の部屋に呼ばれます。このシーンは詩織も登場お願いします。
詩織:はい。
楠次朗:「次郎長の親分。おいに何の用だい」勢いよく障子を開き、肌の上に具足、羽織をはおった男が。

 部屋には次郎長と、一人の女子がいる。女子はもちろん詩織。

楠次朗:幼き頃はなかった左眉から右頬にかけての傷跡。親分と共にいる女子を見れば、その傷跡が僅かに歪み--。
GM(清水次郎長の扮して):「おう楠次朗。野暮なことを聞いちまうが、お前さん、肥前のもんだったよな」
楠次朗:親分の声に傷跡の歪みが正される。畳の上に胡坐をかき、拳骨を床に付き、「そうばい、おいは--肥前で生まっと」
GM(清水次郎長の扮して):「肥前の藩主の閑叟様ってのは大したお人だというじゃねえか。妖怪ってあだ名がまたいいいねえ」
詩織:「あは。肥前の妖怪。なんて皆さまお父様を大きく見すぎなのですよ」と言ってから手で口を押えて。
楠次朗:「……おいみたいな、ふうけもんとは違ーて、てーした人物じゃ--おいは見たことのーけんど」視線だけで詩織を見遣り、「おいの昔話を聞くために呼んだんじゃないじゃろ?」
GM(清水次郎長の扮して):「すまねえ。紹介が遅れたな、このお嬢様はその肥前の姫様だ。何をどう間違ったか、船に紛れ込んでいたのを大政が見つけてな、てえしたお姫さんだ」大政は子分の一人ですね。
詩織:「うまく紛れたと思っていたのですが……大政さんは見つけるのが、お上手ですね」
楠次朗:「肥前からここまでくっと、なまんこっちゃなか」と詩織の方を改めてむいてから、「こげん、やーらしかおなごが、なして」
詩織:楠次郎が何者か分からないので、次郎長親分が応えるのに任せます。
GM(清水次郎長の扮して):「お姫様には何か事情がおありのようだ。楠次朗、お前さんこのお姫様について肥前まで送ってやりな。道中で、お姫様の目的も遂げることができるといいがな」
楠次朗:「えっ」と目を丸く、詩織を見やって--。
詩織:「親分さん、ありがとうございます。きっとやり遂げてみせます」
楠次朗:親分に向き直って首をぶんぶんと振るう。「いけん! おいはひーたれじゃなかと。こげん大事なときに、おいは--」黒駒の勝蔵一家との抗争から外されることになるので恩義を返したい一面もありながら、しかし詩織の方を見て--。
詩織:にこにこ。
楠次朗:--ぐっと拳を握り頭を下げ、額を床にこすり付け、「とっとと、かえってくっから。おいに、時間をくんしゃい!」
GM(清水次郎長の扮して):「すまねえな。お前は石松に似て無鉄砲なところがある……。案外、姫様ならうまく乗りこなしてくれるかもな」穏やかな眼差しで二人を見つめて、「それと、こりゃあ俺の勘だがな、黒駒の勝蔵との血戦よりつらいことになるかもしれねえぜ。たのんだぜ」といつもの厳しい目になって楠次朗を見つめる。
楠次朗:顔を挙げ、額から流れてきた血が傷跡を伝う。頬に来た血を舐め取ってから、その視線にまっすぐな視線を返し--。

「応!」
 楠次朗は迷いなく応えた。


三、加藤羆-葉隠衆-

 羆は五番組隊士たちと市中見廻り中であった。組長の武田観柳斎が甲州流軍学により導いた方角へと--。

羆:はい! 余命少ない仲間たちとの道中を楽しみます!
一同:(笑)。
GM:仲間に下手に名前をつけたりすると、切なくなるやつですね--。
羆:「--小島さん!」
GM:え?
羆:……。
GM:名前つけましたか?
羆:はいっ。
一同:(爆笑)。
羆:「はぁー、今日も何事もなく見廻り終わりそうですねぇ、小島さん。良かった良かった」辺りに目を配りつつ、とある店を見つけると隣を歩いていた小島に声をかける。「あ、この間山田さんが言ってた、素敵な簪が売ってる店ってここじゃないですか? 出来たばかりの恋人さん用に、明日の非番のときにでも買ってあげたらいかがでしょう」
一同:(爆笑)。
GM(小島に扮して):「そうだな。今度彼女に買っていってやろう。今夜は鍋でもつつこうと話していたんだ」
羆:小島さんによる「いかに恋人が可愛いらしいか」を隊士のみんなと聞きながら--人気のない路地を抜ければ見廻りもおしまいというところ。

 羆たちが歩く小路の行く手に忽然とひとつの影が立っている。

羆:「こんな時分に人だなんて、珍しいですねぇ」首をかしげていると小島さんが影の見えた方に声をかけに行くんですよ。
一同:(笑)。
GM(小島に扮して):「おい、こんな時間に何をしてるんだ? 迷ったのなら表への道を--。加藤、お前は下がっていろ。何かあったら武田先生へ報せろ。なあに、俺は大丈夫。山田とこの小島、『五番組の双龍』と呼ばれている腕だぜ」
羆:なんかすごいフラグきたぞ!
一同:(爆笑)。
羆:「はい、承知しました。でもすぐに刀を抜いてはだめですよ? まだ荒事と決まったわけでは--」

 小島は二人の隊士を引き連れて、影に向かっていく。そして--一陣の風が吹いたかと思うと、小島含めた三人の隊士は倒れた。
 その場に一人の長髪の男が立っている。その瞳は金色に輝いている。

羆:「--え? こ、小島さん! 山田さん! 佐藤さん!? ……何者ですか貴方は! 一体何をしたんですか!?」
GM(謎の剣士に扮して):「一人は生かす……。そして京に知らしめるがいい。俺は葉隠衆」
羆:「葉隠……ってあの、いやまさか」刀に手をかけるも、自分の実力では到底かなわないだろうことは見て取れる。一歩も動けない……。

 葉隠衆と名乗った男は闇に溶けるように去っていく--。
 羆は男が消えた場所を睨み続けることしかできなかった。騒ぎを聞きつけたのか、他の見廻りの隊士たちが向かってくる音が遠く耳に届き始めた……。


四、鵜鷺甚九朗-伊賀の里-

 深い山中にある里。隠れ里と言ってもいいかもしれない。一人の男が野良着を着て畑を耕している。

甚九朗:「ふぃー、一段落っとぉ」手ぬぐいで汗を拭いて、とても充実している。

 甚九郎に向かって棒手裏剣が飛来する。

甚九朗:「のわひっ!?」とっさに鍬の柄で棒手裏剣を受け止めます。「ちょ、お師! 殺す気ですか!! こちとら畑仕事で腰いてぇってのに!!」

「おう。嫌だねえ。間一髪かわした、と見せかけて余裕じゃねえか。わしからすべての業を盗みおって」
 師匠の沢村甚三郎。

甚九朗:「いやいやいや、こちとら必死ですよ。必ず死ぬと書いて必死ですよ。『覚えなきゃ死ね』って修行法でたまたま生き残っただけじゃねぇですか……」鍬を捨てて警戒しながら後ずさる。
GM(沢村甚三郎に扮して):「そう警戒するなよ」魚の干物を噛みちぎって、「お前、京に行け」
甚九朗:「え、嫌です」
一同:(笑)。
甚九朗:「ようやく畑の作物ができはじめたんですよ! もうね、野良作業なんて大変だと思ってましたけど、いまは俺このために生まれて気た気がしてて」
GM(沢村甚三郎に扮して):「じゃあ、死ぬか」懐に手を突っ込んで得物をまさぐりながら。
甚九朗:「行かせてイタダキマス!!」
一同:(爆笑)。
GM(沢村甚三郎に扮して):「ちょっと前に京の池田屋ってとこで事件があってな。捕まった奴らは天皇を拉致しようとしていたらしい。伊賀も幕府の仕事はからっきしだし、今や朝廷の隠密だ」
甚九朗:「いや、でもホントどうしたんです? 俺みたいなペーペー捕まえんでも、もっと出来る人達ゃいるんじゃねぇんで?」
GM(沢村甚三郎に扮して):「お前だからできるんだよ」ばりっと干物を噛みちぎる。「いや、お前じゃないといけない……」
甚九朗:「池田屋、ねぇ。なるほど、そいつらの残党なり何なりが居ないかどうか探って来いってわけで?」
GM(沢村甚三郎に扮して):「そういうこった。京もきな臭くなってきた。天皇を守るのがお前の使命だ」
甚九朗:「ま、拾ってもらった恩がありますし……いまじゃあ俺も伊賀もんの端くれだと思っちゃあいますから、ご指名ご用命とありゃあやりますよ」腰を叩きながらぐっと伸びをして、「で、出立は」
GM(沢村甚三郎に扮して):「今だ」
甚九朗:「今かよ!! アンタもうちょっとあっただろ!! 事前にとか!!」と言いながら小屋に駆け込んで身支度を始める。「あ、お師さん『どんな手段を使っても』いいんですよね?」
GM(沢村甚三郎に扮して):「ああ、『全てを使って』いい」
甚九朗:「極めて了解」

GM:導入フェイズの最後に、みなさんは他PCの【居所】を取得することができます。
詩織:私は楠次郎さんの【居所】を取得します。
楠次朗:一人だけ取得できるなら、おいは詩織かのう。
羆:悩みますねぇ。とりあえず甚九朗さんの【居所】ですね。
甚九朗:まぁ、池田屋関連から洗っていったとすると羆かなぁ。
GM:はい、了解です。

GM:詩織は一般人なのでペルソナがあります。次の二つです。

「幼い頃の思ひ出」
「葉隠」

GM:詩織の【秘密】について情報判定に成功したら、最初は必ず「幼い頃の思ひ出」の【真実】を取得します。その次以降はルール通りランダムで、【秘密】か「葉隠」の【真実】になります。
甚九朗:ほほう。
羆:なるほどー。了解です。
楠次朗:ほうほう。
詩織:わくわくしてきますね!

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